【KYOTOVEGANメンバーズ】美濃与の大豆出汁と持続可能な食文化

京都の食文化といえば、四季折々の美しさを映し出す和菓子が欠かせません。その中でも、創業から123年の和菓子材料卸と大豆焙煎所業の株式会社美濃与(みのよ)様をご紹介させて頂きます。(*以下敬称略)
美濃与は和菓子の伝統を大切にしながら、新しい発想で食の可能性を広げる企業です。
今回ご紹介するのは、新商品「大豆出汁」。日本の伝統的な食文化に根ざしながら、環境負荷を抑えた新たな選択肢として注目されています。その誕生ストーリーや特徴を詳しくお伝えします。
美濃与の会社方針
和菓子は単なる食文化の一部にとどまらず、自然や四季の移ろいと深く結びついています。和菓子の材料となる植物や果実は、その土地の風土や季節の変化を色濃く反映しており、和菓子職人はその恵みを巧みに生かしながら、味わいだけでなく視覚や香り、食感など、五感を通じて自然の美を表現しています。
そして、和菓子業界に携わる私たちの役割は、この自然との繋がりを次世代にしっかりと伝えていくことです。季節ごとの素材の変化を大切にし、風景や植物、自然の息吹を感じ取ることが、和菓子文化の根底にあると美濃与は考えます。
未来に向けて、持続可能な素材の使用や環境への配慮も重要なテーマとなり、自然の恵みを大切にし、次世代にその価値を引き継ぐための取り組みを進めていくべきだと思います。
私たちの活動を通じて、和菓子が単なる甘味ではなく、自然の循環や豊かさを感じさせるものであり、その美しさを次の世代に受け継いでいくための橋渡しとなることを目指しています。
大豆出汁の誕生ストーリー
日本の身近な農産物として大豆があります。大豆は日本全国、沖縄を除くほとんどの都道府県で栽培されており、米の銘柄のように地域ごとに様々なブランドが存在しています。
大豆は加熱や発酵、圧搾などの工程を経ることで、私たちの食卓に多様な形で登場します。
美濃与では「煎る」ことを専門とする工場を設立し、焙煎士が煎り加減を調整することで、さまざまな商品を生み出してきました。浅煎りから深煎りまで、煎り具合を微調整することで、きな粉の風味を変化させたり、極深煎りによって大豆コーヒーを開発したりしています。そして今回は、煎り方の工夫から開発した「大豆出汁」をご紹介させていただきます。
大豆出汁の開発には、二つの大きな想いが込められています。一つは、お寺で古くから使われてきた大豆の旨味を、皆さんにもっと知っていただきたいということです。年末には植物性の材料だけで作った筑前煮の試食会を開催しましたが、その美味しさは想像以上で、参加者からは老若男女問わず大変好評をいただきました。大豆の持つ深い旨味とその多様性を、和食文化の中で再評価していただきたいと考えています。
もう一つは、海洋資源の未来が危ぶまれている現在、カツオやイリコ、昆布だけに頼らない新しい選択肢として、大豆出汁を提案することです。大豆は地球に優しく、持続可能な素材として、環境問題への貢献が期待できます。少しでも自然への負担を減らし、次世代へと繋がる和食文化を支えていきたいという思いから、この大豆出汁の開発に取り組んでいます。
大豆出汁について
出汁を作るにあたって、美濃与は初めての挑戦でしたので、どのように美味しく仕上げるかが最大の課題でした。煎り具合については、研究室と焙煎士が約3年をかけて試行錯誤し、青臭さがなく、きな粉の香ばしさが出ず、「これだ!」という煎り具合を昨年ついに見つけることができました。最適な煎り具合が決まったものの、皆さんに美味しく、かつ使いやすく提供する方法については悩んでいたところ、河口さんと出会い、相談をさせていただいたことで、商品化への道が大きく開けました。
出汁パック=煎り大豆、椎茸、昆布を組み合わせた製品、については、素材が見えるパッケージに仕上げることにしました。理由は、フードロスを減らすために、出汁をとった後の袋の中身も食材として活用できる提案を行い、無駄なく使い切ってほしいと思っています。これにより、出汁の旨味だけでなく、食材そのものの魅力も感じていただける商品に仕上がりました。
大豆出汁の取り方は非常に簡単です。煎り大豆150gに対して1リットルの熱湯を注ぎ、一晩おくだけで750ccの出汁が取れます。味の特徴は何と言っても「甘み」です。単体で飲んでもその甘みが感じられますが、特に他の出汁や食材と組み合わせることで、味の下支えとしてその深い甘みがしっかりと活きてきます。
この大豆出汁を活用すれば、味噌汁や煮物はもちろん、スープや鍋料理にも最適です。植物性の出汁として、ヴィーガンやベジタリアンの方々にも取り入れやすい選択肢となるでしょう。
この大豆出汁が、ヴィーガンに関わらず皆さんの料理に新しい風味を加え、日々の食卓に役立つことを心から願っています。
おわりに
美濃与の大豆出汁は、単なる調味料ではなく、和食文化の新たな可能性を開く食材です。環境に配慮しながらも、和食の魅力を次世代につなげるこの取り組みは、多くの人にとって新たな発見となるでしょう。
この機会にぜひ、大豆出汁を試してみてください。料理の幅が広がるだけでなく、食の未来について考えるきっかけになるかもしれません。ぜひ、この大豆出汁を試して、日々の食卓に新しい風味を加えてみてください。サンプルをご希望の方は、KYOTOVEGANまでお気軽にお問い合わせください。