ネイチャーポジティブってなんですか?
最近、サントリーがサンリオキャラクターとコラボレーションしたCMを目にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その中で「ウォーターポジティブ」という言葉が登場しました。
この言葉は、「100年先の未来も清らかでおいしい天然水を守るため、限られた資源である水を、大自然からいただくだけでなく、おかえししていく(取水量以上の水を水系に育む)取り組み」を象徴しています。(サントリー食品インターナショナル(株)ニュースリリースより)
サントリー天然水×ハローキティ『水と友だちになろう』60秒 ハローキティ サントリー の動画はこちら
このCMは、私たちが地球の未来に向けて水資源を守り、持続可能な社会を築くための重要なメッセージを伝えています。水に焦点を当てた「ウォーターポジティブ」の考え方は、さらに広い視点で「ネイチャーポジティブ」という概念に通じています。「ネイチャーポジティブ」という言葉も注目を集めていますが、これらは一体何を意味するのでしょうか?そして、私たちの日々の生活や企業活動にどのように関わってくるのでしょうか?
今回は、ネイチャーポジティブの概念や具体的な取り組みについて、そして私たちができることを考えてみたいと思います。
ネイチャーポジティブとは?
ネイチャーポジティブとは簡単にいうと、人間活動が自然にもたらす悪影響を減らし、自然を回復させプラスの状態を目指す考え方です。そして人間と自然が共生できる持続可能な社会を目指します。
なぜネイチャーポジティブが必要なのか?
地球上の生物多様性は、過去1,000万年間の平均と比べて10~100倍の速さで失われています。この急速な自然の損失は、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしています。
他にも気候変動や森林破壊、過剰な資源消費による環境劣化が進む中で、自然との共生を取り戻すことが急務となっています。ここで登場するのが「ネイチャーポジティブ」という考え方です。
ネイチャーポジティブの目標
ネイチャーポジティブとは、「2030年までに自然の損失を止め、2050年までに自然を回復させる」ことを目指す取り組みです。単に環境への負荷を減らすだけでなく、自然を豊かで持続可能な状態に再生することが目的です。この考え方は、2022年に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)やG7、2030年自然協約でも重要なテーマとして掲げられました。
自然のための世界目標:2030年までのネイチャーポジティブ
(出典:NATURE POSITIVE INSTIATIVE)
ネイチャーポジティブの取り組み事例
京都市「自然共生サイト」への認定
日本政府は「生物多様性国家戦略2023-2030」において、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全するという「30by30目標」を掲げました。この目標達成に向け、環境省は「自然共生サイト」の認定制度を創設し、民間による生物多様性保全の取り組みを後押ししています。
古都・京都においても、この流れを受け、ネイチャーポジティブの実現に向けた動きが加速しています。京都市は、2023年7月に「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加し、積極的に「自然共生サイト」の認定促進に取り組んでいます。
現在、京都市域内には6つの「自然共生サイト」が認定されており、企業、自治体、市民団体などが主体となって、多様な生物が生息できる環境づくりが進められています。
「生物多様性のための30by30アライアンス」のロゴマーク
企業の経営思想にも
京都を拠点とする企業の中には、「ネイチャーポジティブ」の理念を経営の柱に据え、実践的な取り組みを進めている企業もあります。特に京セラや村田製作所、オムロンといったグローバル企業は、地域の自然と共生しながら、持続可能な社会の構築を目指す指針となっています。
最後に
KYOTOVEGANとして
KYOTOVEGANでは、ただ動物性の食品を避けるだけに留まらず、自然環境全体にポジティブな影響を与えられるライフスタイルを考え提案していきたいと考えています。
たとえば、地元で採れた季節の食材を使った料理や、持続可能な農業を支援する取り組みがその一部です。これらは、地球の生物多様性を守り、未来の世代に豊かな自然を引き継ぐための重要なステップです。「自然にやさしい」から、「自然にプラス」を選ぶことが、次世代に向けた持続可能な未来を実現する一歩だと思います。
KYOTOVEGANではこの理念を皆さんと共に考え、アクションをもとに実践することを進めていきます。ぜひ、ネイチャーポジティブな未来を目指して一緒に歩んでいきましょう。
もっと詳しく
詳しく知りたい方は、環境省のサイトや関連情報をご覧いただくと、ネイチャーポジティブに関する具体的な取り組みや政策の詳細を確認できます。これらの情報は、私たちが自然再興のためにできる行動を考えるヒントになるはずです。ぜひチェックしてみてください。
・「ネイチャーポジティブ|ecojin(エコジン)」環境省
・「ネイチャーポジティブ経済移行戦略 参考資料集(2024年)」環境省自然環境局 生物多様性主流化室
執筆:久田愛理