
世界初、ラーメンでグリーンスター獲得
2025年、京都のヴィーガンラーメン専門店「Vegan Ramen UZU」が、ミシュランガイド京都・大阪2025において、ラーメンジャンルとして世界で初めてグリーンスターを獲得しました。このニュースは、日本の食文化の象徴ともいえるラーメンというジャンルにおいて、持続可能性の観点から画期的な転換点を示す出来事として注目を集めています。
ラーメンといえば、豚骨や鶏ガラ、煮干しなどの動物性食材を用いた濃厚なスープが特徴です。チャーシューや味玉、背脂など、動物由来の食材はその旨味や満足感を構成する重要な要素として、日本人だけでなく世界中のラーメンファンを魅了してきました。つまり、動物性食材なくして「美味しいラーメンは成立しない」とさえ思われてきたのです。
すべて植物性、それでも一流の味
そんな既成概念に真っ向から挑んだのが、Vegan Ramen UZUです。同店は、動物性食材を一切使わず、植物性食材のみでラーメンを構築しています。例えば、出汁には羅臼昆布や国産椎茸を使用し、コクを引き出すために味噌や白胡麻ペースト、オーツミルクなどを巧みに組み合わせています。さらに、ローストトマトや焼き舞茸、梅などの香りや食感のアクセントも、味わいに奥行きを与えています。
また、Vegan Ramen UZUの革新性は、味だけではありません。同店は、持続可能な社会の実現を目指し、その姿勢を店舗運営や食材調達など、多方面に反映しています。地産地消、食品ロス削減の工夫、プラスチックごみの削減など、小さな選択の積み重ねによってサスティナブルな未来に貢献しています。
店舗の空間設計にも特筆すべき点があります。京都店ではアート集団チームラボのデジタルアート作品《反転無分別 – Black in White》を常設展示しており、食事という体験を視覚的・感覚的にも豊かにすることで、訪れる人々に「消費」ではなく「共創」という新たな価値を提示し、これもまた、持続可能性を食だけでなく文化や精神面にまで拡張して捉える姿勢の表れといえるでしょう。
グリーンスターが示す新しい価値基準
ミシュランのグリーンスターは、環境に配慮した取り組みを積極的に行っているレストランに与えられる特別な評価です。料理の味や見た目だけでなく、素材の選定、調理方法、運営ポリシー、地域社会との関係など、多角的な視点から審査されます。Vegan Ramen UZUがこの栄誉に輝いたことは、ラーメンが「サステナブルとは縁遠い料理」だという先入観を打ち破るものであり、業界に新たな潮流を生み出すきっかけとなるかもしれません。
ラーメンは、今や世界中で愛される日本の代表的な料理です。そのラーメンを、ヴィーガンという手法で再構築し、しかも一流の味とサステナブルな哲学を両立させるという取り組みは、日本の食文化の柔軟性と創造性を世界に示すものでもあります。
これからの時代、「美味しさ」と「地球へのやさしさ」を両立させることは、飲食業界にとっても不可避の課題です。その最前線に立つVegan Ramen UZUの挑戦は、飲食に関わる全ての人にインスピレーションを与えるものであり、私たち消費者にも「どんな食を選ぶか」という問いを投げかけています。
これは始まりにすぎない
Vegan Ramen UZUが成し遂げたグリーンスターの獲得は、一つのゴールではなく、よりよい未来に向かうための始まりです。その一杯のラーメンに込められた想いは、確かに、世界を少しずつ変え始めています。
*KYOTOVEGANメンバーズ様のグリーンスター獲得の快挙。これからも持続可能な地球を目指して応援していきます。