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なぜ“革”は問い直されるのか

本革や合成皮革は、長らくファッションやインテリアの定番素材として支持されてきました。しかし、製造・廃棄の過程で大量のCO₂や水を消費し、石油由来の合成レザーにはマイクロプラスチック問題も含まれます。その一方で、消費者の心には「でも、本物の質感が好き」という気持ちも。ヴィーガンやサステナブルへの関心が高まる現代では、「環境負荷を抑えながら、高級感も妥協しない」素材へのニーズが強くなってきています。

革素材への環境的視点

世界においてファッション産業は石油産業に次ぐ環境負荷を抱える産業とされています。動物の命を使う本革はもちろん、石油由来のPU(ポリウレタン)やPVC(塩化ビニル)も地球に優しいとは言えません。ヴィーガンレザーと呼ばれるものの多くはプラスチックの一種。耐久性や美しさはあるものの、廃棄後の分解性やサステナブル性には限界があります。

「ヴィーガン素材」の見落としがちな盲点

既存の植物由来素材には、以下のような課題がありました:

  • 耐久性が本革に劣る
  • 風合いや質感が満足いくものではない
  • 生分解性が不十分
  • 製造にCO₂や水を多く消費

これらの課題が、環境によい選択肢を妥協して使う“ある種の割り切り”に留まらせてしまっていたのです。

「Pelliqua」が切り拓く革新のステージ

ここに登場したのが、サステナジーン社開発の「Pelliqua」です。

  • 100%植物性、プラスチックフリー
    動物由来・石油由来の素材を完全に排除し、プラスチックゼロのヴィーガンレザーという新ジャンルを確立しました。
  • 微生物発酵による製造プロセス
    独自のバイオ技術で、植物を微生物発酵させてレザー状に変換。結果として、本革に比べCO₂排出量は1/8、水使用量は1/6に削減されたといいます。
  • 質感と高級感の両立
    軽く柔らかく、半透明で奥行きある見た目は、高級雑貨にふさわしい質感。クラッチバッグやカードケースへの応用も実現しています。

さらに2025年8月8日には、USDA BioPreferred®プログラムにおいて100%バイオベース認証を取得。国際的にも信頼できる“本物のサステナブル素材”としての地位を確立しました。

素材の未来を拓く第一歩:「BHOPE」ブランドによる実装

2025年7月11日〜8月26日、東京・有楽町マルイ6Fの「エシカルな暮らしLAB」にて、「Pelliqua」初披露のポップアップ展が開催されました。筆者も実際に足を運び、そのしっとりとした質感に驚かされました。これまでの革製品とは一線を画す、やわらかく温かみのある触り心地。見た目の美しさだけでなく、感触や軽さからも、次世代の素材としての可能性を強く感じさせてくれます。

ポップアップで紹介された「エディターズクラッチ」(33,000円)や「ビジネスカードケース」(27,500円)は、現在はBHOPE公式サイトからも購入可能です。
→BHOPEオンラインストア

サーキュラーエコノミーへの挑戦

また、「Pelliqua」の原料として、現在は市販の茶葉を利用していますが、今後は静岡の製茶メーカーと協力し、茶葉製造時に生じる廃棄物を原料として活用する共同実験も予定されています。これにより、資源を無駄にせず循環させる“サーキュラーエコノミー”へ大きく近づくことになります。

ヴィーガン的視点からの価値観の提案

「Pelliqua」は、単なる代替素材ではありません。
それは、

  • 動物の命を尊重し
  • 石油依存から脱却し
  • 地球資源を無駄にしない

――そのすべてを一つの素材で実現する、地球と調和したプロダクトです。

ヴィーガンライフスタイルの第一歩とは、身近な“素材”を意識すること。衣服や小物を選ぶとき、「これはどうやって作られているのだろう?」という問いを持つだけでも、大きな気づきが生まれます。

まとめ

“ラグジュアリー × サステナブル” を追い求め、ヴィーガン的価値観と地球への配慮を両立した「Pelliqua」。国際認証の取得、サーキュラーエコノミーへの挑戦、そして「BHOPE」による実装と、確実に未来を切り拓く存在へと進化しています。

私たちKYOTOVEGANも、今後の動向に興味津々です。


参照元・リンク


執筆担当:村野

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