世界の菜食人口はどれくらい?〜広がり続ける菜食・日本の可能性〜
以前に比べ、最近では「ベジタリアン」や「ヴィーガン」という言葉を耳にすることが増え、京都には菜食中心のメニューにする飲食店がたくさんあり、食の多様化が進んでいます。
世界でも菜食を選択する割合は徐々に増えており、一つの選択肢として受け入れられていることがわかります。
World Population Review (2024)では、様々な分野の人口割合が分かりやすく示されていますので、今回はこちらを参考にベジタリアンとヴィーガンの分布を見てみましょう。
ベジタリアン
ヴィーガン
ベジタリアン人口は様々な国に幅広く分布があり、今後もその人口は増えていくと思われます。
ヴィーガンにおいても特に若い世代の中で世界的に増えていて、環境問題やアニマルライツに多くの注目が集まっている中で、理解が深まっていっています。
さて、この二つのマップをご覧になって皆さんはお気づきでしょうか。
なんと日本はどちらのマップでも色が付いています!
ベジタリアンやヴィーガンというライフスタイルは、マイノリティであり、日本はあまり関係していないと思われていた方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし、地図で見ると少し印象が変わったでしょうか?
日本はやや遅れをとりながらも、着実に食の多様化は進んでいます。
日本の菜食者割合の内訳は、ベジタリアン人口は約10%、ヴィーガン人口は約3%となっています。特にヴィーガン人口においては、世界的にシェア率が少ない中でも数字があり、今後の伸び代があると言えますね。将来的に、インドや欧米諸国と肩を並べる日も近いかもしれません。
日本の菜食への理解をさらに発展させるには
少しずつ菜食のシェアが伸びてきている日本ですが、その可能性をさらに伸ばすためには、もう少しフードダイバーシティに対応していく必要があります。
では、ヴィーガンやベジタリアンなどの菜食への理解をさらに深めるにはどうすれば良いでしょうか?
・古瀬公博氏の論文:「倫理的消費をめぐる消費者間の相互作用」(2022)
・Ramsden, Ruby (2022): “Veganism in Japan: How ‘soft’ activism is changing minds in a meat-eating nation“
これらの記事によると、日本社会では、人々がなぜ菜食を選ぶのか、私たちのフードシステムにはどのような背景があるのか、菜食にはどのような効果があるのか、、、それらの大切な情報があまり明確になっていないとされています。せっかく菜食人口が伸びつつあるのに、ベジタリアンやヴィーガンについて知る機会や触れるきっかけがないのは、非常に勿体無いですね。
実は、菜食を選ぶ人の背景には多くの理由があり、狭い工場で飼育されている動物の権利について考える人もいれば、飼育による環境負荷を懸念する人もいます。また、菜食による健康維持を目的とする人もいるなど、理由は人によって多種多様です。
これらの情報を私たちを含む社会全体が明瞭に発信し、菜食を体験する機会を増やすことが大切であり、そうすることが菜食をもっと身近なライフスタイルに変えていくと思います。
大阪・関西万博で食の多様性を発展できるかも、、、?
約2800万人以上が来場する見込みである、2025年の大阪・関西万博ですが、そこでも食の多様性に対応できるよう取り組みが進んでいます。
食材ピクトグラムという絵文字で食材を表示するシステムを導入し、どの飲食店で何の食材を使っているかをアプリ上で見える化することで、宗教上の理由で食べられる食材が限られている方や菜食を選ぶ方を含む全ての方に、食の自由を提供することが狙いです。
多種多様な人が集まる万博をきっかけに、京都を含む関西地方に菜食飲食店が増える可能性も大いにあると思います。その機会をしっかりと活かして、さらに菜食に対する理解が深まり、多くの方のライフスタイルの一つになるといいですね。
より良い未来のために
今回のコラムでは、ワールドマップから日本の菜食人口割合や世界の傾向を観察しました。
皆さんが想像する人口割合よりも高くて驚いた方も、想定割合よりも低かったと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、一つ言えるのは、ベジタリアン・ヴィーガンのどちらのマップにもれっきとした数字を持つ日本には、まだまだ成長の余地があるということです。
私たちKYOTOVEGANでは、コラム/NEWSやヴィーガンマップを含むツールを通して、菜食や環境課題にまつわる情報を掲載し、多くの人にとって菜食がもっと身近になるよう、そしてアクセスしやすいライフスタイルに出来るよう努めています。
この記事が少しでも皆さんの菜食への理解を深め、今後の未来への期待、希望をもつ一助となれば幸いです。
(執筆担当:酒井杏)