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麸の世界へようこそ

日本には四季折々の食材を活かした豊かな食文化があります。その中でも、京都は千年の歴史を持つ都として、独特な食文化を育んできました。その中で、京料理を彩る欠かせない食材の一つが「麸」です。京都の麸は400年以上の歴史を持つ伝統的な食材であり、その繊細な味わいと美しい見た目は、京料理に彩をもたらします。

精進料理にも使われてきた通り、麸は貴重なタンパク質源として重宝されていました。昨今、グルテンミートが肉の代替品として知られていますが、日本の伝統食材である「麸」も小麦たんぱくが原料で植物性タンパク質を含んでいます。植物性タンパクは栄養価が高く、消化吸収に優れ、しかも低カロリーなのが特徴です。

今回は、麸って一体何なのか、その材料や歴史、多彩な麸の種類とその楽しみ方について詳しくご紹介していきます。

麸って何からできてるの?麸の原料と種類

麸の主要な材料は、「小麦たんぱく」と「小麦粉」もしくは「もち米粉」です。小麦たんぱくは、粘弾性があり、小麦粉と水を混ぜ合わせることで抽出できます。その小麦たんぱくともち米粉を混ぜたものが麸の生地となります。このシンプルな材料から、様々な種類の麸が作り出されます。

練り上がった麸の生地をさらに蒸したり、茹でたり、焼いたりすることで、生麸(もち麸)や焼き麸、揚げ麸といった、それぞれ食感や形が全く異なる麸が完成します。

蒸し、焼きで生まれる多彩な麸
練り上がった麸の生地は、蒸したり、焼いたりすることで、様々な食感と形の麸に変化します。

生麸(もち麸): 蒸したもので、柔らかく弾力のある食感が特徴です。もっちりとした食感があり、そのまま食べても美味しく、煮物や和え物にもよく合います。
焼き麸: 焼いたもので、外側が香ばしく中は柔らかい食感が特徴です。スープや煮込み料理に使うと、出汁を吸ってふわふわになります。
揚げ麸: 油で揚げたもので、軽い食感とサクサクとした食感が楽しめます。サラダのトッピングやおつまみとしても人気があります。

これらの代表的な種類以外にも、様々な形状や食感の麸が存在します。製造方法によって、麸の種類は100種類以上にも及ぶと言われています。それぞれ食感や形が異なるため、料理によって使い分けることができます。

写真:茶房 半兵衛「むし養い」より

精進料理と麸の誕生

麸は室町時代に、禅宗の修行僧によって中国から伝来したと考えられています。中国では古くから「麺筋(めんきん)」と呼ばれる小麦粉のグルテンを使った食品があり、これが日本に伝わって「麸」と呼ばれるようになったのです。日本へ伝わった麸は、動物性のものを一切使わない精進料理にとって、貴重なたんぱく質源として重宝されました。

特に京都では、精進料理の発展とともに麸の文化も発展しました。現在では、京料理の代表的な食材の一つとして欠かせない存在となっています。京都の中心部には「麸屋町通」という名前の通りがあり、そこにはかつて多くの麸屋が軒を連ねていました。麸屋町通は、京都御所から錦市場、四条通に至るまで南北に伸びており、麸を商う商人たちが多く住んでいた地域です。

江戸時代になると、麸は庶民の間にも広がり、一般家庭でも利用されるようになりました。また、茶の湯を大成した千利休の茶会では、麸を使ったお茶菓子が頻繁に登場し、茶客たちに愛されていました。

京都で麸を楽しむ

創業元禄二年(1689年)から続く、麸屋「半兵衛麸」。京料理の料亭で長年愛されてきたその美味しさを、ご家庭でも気軽に味わえるよう茶房がオープンしました。ランチメニュー「むし養い」は、京麸と京ゆばのお料理です。とろけるような生麸から、お出汁の旨味が染み込んだ焼き麸まで、様々な食感と味わいの麸を堪能できる贅沢なコースとなっています。

山椒やお味噌、昆布出汁などの繊細な味付けが、麸の素材本来の味を存分に引き立てます。見た目も美しい半兵衛麸のコースは、まさに五感で味わう贅沢なひとときです。

大正ロマン漂う雰囲気の洋館で、店内には半個室や坪庭付きの贅沢な空間もあり、特別な日の食事にもぴったりです。

ヴィーガンコースもあるので、ヴィーガンの方でも安心して京麸の美味しさを味わえます。(※ヴィーガン対応は3日前のご予約が必要です。)

京都にお越しいただいた際は、ぜひ「茶房 半兵衛」で京麸の奥深い世界を堪能してみてください。

最後に

京料理を彩る欠かせない食材「麸」。いかがでしたでしょうか?精進料理の発展とともに京都で栄えた麸文化は、現在では京料理の代表的な食材の一つとなっています。

小麦粉たんぱくと小麦粉やもち米粉のシンプルな主原料を、蒸したり焼いたり一工夫することで、様々な食感と形の麸が生まれます。麸は動物性不使用で良質なタンパク質源であり、様々な料理に活用できそうですね。

今回ご紹介した「麸」のように、京都の街で何百年と受け継がれてきた菜食文化の中にはまだまだヴィーガンの方々にとって魅力的な食材がたくさんあります。フードテックなどの新しい技術だけでなく、京都の長い歴史で生まれた精進の食のポテンシャルの高さにも目を向けてみると、これまで知らなかった京都の魅力を再発見することができそうです。

今後もそういった京都の食文化とヴィーガンや菜食の魅力をお伝えできればと思います。乞うご期待ください!

執筆:久田愛理

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