【2025年最新版】世界で注目される“ヴィーガンフレンドリー都市”

ヴィーガン人口が増え続ける中、世界各国でプラントベースの食文化が根付いてきました。2025年最新版として、HappyCowが発表した「Top 25 Vegan-Friendly Cities 2025」から、特に注目すべき5都市を紹介します。
さらに今回注目したいのは、これらの都市がヴィーガンシーンを発展させる背景にある“社会の変化”と、その流れから日本がこれからどのようにヴィーガンフレンドリーな環境を築いていけるのかという視点です。
本記事では、審査基準やトップ5都市の特徴を紹介しつつ、日本・京都の未来へのヒントを考察します。
2025年版ヴィーガンフレンドリー都市ランキングTOP25
審査基準
・市内の完全ビーガンレストランの数
・完全ビーガンのビジネスの数(ショップ、パン屋、カフェ、B&Bなどを含む)
・市内のHappyCowに掲載されているヴィーガン・ベジタリアン・フレンドリー施設の数
・人口当たりのヴィーガン施設密度
・面積当たりのヴィーガン施設密度
・過去のレポートからのヴィーガンビジネスの成長度
・TeamCowによる質的評価
(選択肢の多さ、地域のヴィーガン理解度、コミュニティの活性度など)
結果
1位 ロンドン/イギリス(→1位)
2位 ベルリン/ドイツ(→2位)
3位 ロサンゼルス/アメリカ(↑7位)
4位 ポートランド/アメリカ(↑6位)
5位 リスボン/ポルトガル(↑10位)
6位 バルセロナ/スペイン(↓3位)
7位 アムステルダム/オランダ(↓4位)
8位 メキシコシティ/メキシコ(↑圏外)
9位 ニューヨーク/アメリカ(↑15位)
10位 ホーチミン/ベトナム(↑18位)
11位 ワルシャワ/ポーランド
12位 東京/日本(↓11位)
13位 ポルト/ポルトガル
14位 バンコク/タイ
15位 プラハ/チェコ
16位 パリ/フランス
17位 サンフランシスコ/アメリカ
18位 台北/台湾
19位 シンガポール
20位 コペンハーゲン/デンマーク
21位 ハンブルグ/ドイツ
22位 マドリード/スペイン
23位 ウィーン/オーストリア
24位 サンパウロ/ブラジル
25位 ミュンヘン/ドイツ
※( )は2024年の順位
トップ5都市の特徴
1位 ロンドン/イギリス(→1位)
ロンドンは、前回のレポートからHappyCow のビーガン レストランが 12% 増加し、世界でも最もヴィーガン文化が進んでいる都市のひとつです。多国籍文化の融合が、幅広いヴィーガンメニューの多様性を生み出しています。ロンドン中心部には、完全ビーガン レストランが 154 軒、さまざまなタイプのビーガン ビジネス(カフェ、ベーカリー、ショップ、B&B、ケータリングなど) が 285 軒以上あり、ビーガン対応のリストは合計 3,620 件あります。「ビーガン向けの食品ありますか?」と問い合わせることなく、「ビーガン対応食品を食べる」という選択ができるようになっているのです。また、イギリス政府の環境・動物福祉への積極的な取り組みが、ヴィーガンの選択肢拡大を後押ししましたとも言われています。
2位 ベルリン/ドイツ(→2位)
ベルリンの人々は、これまで以上にヴィーガンライフスタイルに馴染みがあるものになってきており、まちの至る所で植物由来の選択肢を見つけるのが簡単になっています。現在、ベルリンには完全ヴィーガンビジネスが116軒あり、昨年からわずかに7%減少しています。しかし、ヴィーガンフレンドリーなリスト全体では7%増加し、市内全体で合計1,772軒のヴィーガンフレンドリーなスポットとなっています。わずかな変動はあったものの、ベルリンは多様な選択肢と、どこを見ても「ヴィーガン」という言葉が見られる、世界で最も活気に満ちた繁栄しているヴィーガンフレンドリーな都市の一つです。
3位 ロサンゼルス/アメリカ(↑7位)
ロサンゼルスは、数値の減少にもかかわらず、常に当社のトップ10ヴィーガンフレンドリー都市リストにランクインしています。特に、この都市は2,515軒という印象的なヴィーガンフレンドリーな会場を誇り、HappyCowのリストではロンドンに次ぐ2位です。完全ヴィーガンレストランの数は22%減少し、現在は50軒、ヴィーガンビジネスの数は12%減少し、128軒となっていますが、ヴィーガニズムはここでよく理解され、受け入れられています。ロサンゼルスは、定期的なイベントや豊富な高品質な植物由来の選択肢を誇る、活気のあるヴィーガン目的地であり続けています。
4位 ポートランド/アメリカ(↑6位)
ポートランドは、人口あたりのヴィーガン施設の密度が最も高く、米国における主要なヴィーガン拠点としての地位を確立しています。完全ヴィーガンレストランの数は15%減少し、合計46軒となりましたが、市内のヴィーガンフレンドリーな会場は10%増加し、631軒に達しました。全体として、ヴィーガンビジネス(レストランとその他のビジネスタイプ)はわずかに1%増加し、合計103軒となりました。“ヴィーガンのメッカ”と呼ばれることもあるほど、アメリカでヴィーガンに優しい都市として挙げられることが多いです。
5位 リスボン/ポルトガル(↑10位)
リスボンのヴィーガニズムへの関心の高まりは、昨年にも増して2年連続で当社のリストにリスボンをランクインさせました。リスボンのヴィーガンシーンは急速に拡大しており、完全ヴィーガンレストランは10%増加し、合計41軒となりました。また、様々なヴィーガンフレンドリーなビジネスも11%増加し、合計82軒となり、HappyCowのリスト全体も11%増加し、583軒となっています。1平方マイルあたりのヴィーガンオプションの密度が高いため、リスボンは現在、ヴィーガンにとって最もアクセスしやすい都市の一つとしてランク付けされています。
詳細は HappyCowの公式ページ でご覧いただけます。(英語)
考察:世界のヴィーガン文化の広がり
1. 欧州都市がリード、政策と文化の後押し
ロンドンやベルリンなどの欧州都市は、環境・動物福祉を重視する政策がヴィーガン文化の普及を強力にサポートしています。ロンドンでは完全ヴィーガンのレストランやビジネスが多様化しており、ベルリンではヴィーガンフレンドリーな店舗が増加傾向にあります。政府の積極的な政策と市民の高い意識が、ヴィーガン選択肢の拡大に大きく貢献していると言えます。
2. アメリカ都市は成熟市場、密度と質で勝負
ロサンゼルスやポートランドは、完全ヴィーガン店舗の数が減少しているものの、ヴィーガン文化はすでに根付いています。ポートランドは人口当たりのヴィーガン施設の密度が最も高く、多様な選択肢が揃っています。ロサンゼルスではヴィーガニズムが理解・浸透しており、数の減少よりも質の向上やイベントの活発化が特徴です。アメリカでは「特別な食事」ではなく、ヴィーガンが日常の一部になりつつあることが分かります。
3. 新興市場と観光都市の急成長
リスボンは、ヴィーガニズムへの関心の高まりと観光客の需要増加が相まって、急速にヴィーガンシーンを拡大させています。完全ヴィーガンレストランの数は増加傾向にあり、ヴィーガンフレンドリーな店舗も増え続けています。観光都市としての魅力と相まって、リスボンはヴィーガンにとってますますアクセスしやすい都市へと進化しています。
4. ヴィーガン文化の多様化と日常化
完全ヴィーガンレストランの数が減少する一方で、ヴィーガンフレンドリーな選択肢は各都市で増加しています。これはヴィーガン食が「特別な選択肢」ではなく、日常的な食生活の一部として受け入れられつつある証拠です。さまざまな国や都市でヴィーガン文化が柔軟に適応し、多様な背景やライフスタイルに寄り添った形で進化していると言えるのではないでしょうか。
日本が目指すヴィーガンフレンドリーな未来は?
1. 政策と教育でヴィーガン文化の土壌づくり
ロンドンやベルリンのように、政府主導で環境・動物福祉に配慮した政策を推進することは、ヴィーガン文化の認知度を高まりにつながります。また教育を通じて、ヴィーガンを表面的な物事ではなくその背景にある植物由来の食生活のメリットや環境への影響について正しい理解を深めることが重要です。
2. 観光地としてのヴィーガン対応の強化
リスボンの成功から学べるのは、観光地におけるヴィーガン対応の充実が都市の魅力向上につながるという点です。日本でも、東京や京都などの観光都市で、外国人観光客向けにヴィーガンメニューを標準化し、飲食店の情報発信を強化することで、ヴィーガン観光の需要に応えることができます。また、多言語でのヴィーガン対応情報の提供や、観光施設・ホテルでのヴィーガンオプションの拡充も、訪日観光客の満足度を高める鍵となります。
3. 日常生活での選択肢の多様化
京都では観光客向けのヴィーガン専門店や対応店が多く見受けられますが、ポートランドやロサンゼルスのように、日常生活の中でヴィーガンフレンドリーな選択肢を増やすことも重要です。完全ヴィーガン店舗の拡大だけでなく、既存の飲食店でのヴィーガンメニューの導入支援や、スーパーでのヴィーガン食品の品揃え強化など、地元の消費者も気軽にヴィーガンの選択をできる環境づくりが求められます。
4. ヴィーガン文化の柔軟な取り入れ方の模索
日本は食文化が豊かであり、伝統的な精進料理や大豆製品など、ヴィーガン文化と親和性の高い食材が多数あります。これらをベースに、現代のライフスタイルに合った日本独自のヴィーガンスタイルを打ち出すことで、世界に向けて新しい食文化を発信できるでしょう。日本ならではの「持続可能な食文化」として、世界に向けた新しい食のトレンドを築いていくことが重要です。
最後に
このランキングを見ると、世界各地でヴィーガンフレンドリーな文化が着実に広がっていることを実感します。ロンドンやベルリンのような都市では、ヴィーガンの選択肢が自然に生活に溶け込み、地域の文化として根付いています。KYOTOVEGANとしては、京都や日本もこれに続き、より多くの場所でヴィーガンの選択肢が当たり前にできるような社会へと進んでいくために貢献してきたいと思います。
KYOTOVEGANとして、京都の地域に根付いた寛容なヴィーガン文化を築き、その魅力を世界中に広げていきたいと考えています。ヴィーガンに関するコンサルティングや商品販路拡大、マップ制作、ヴィーガンに関する疑問解決などのご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
執筆:久田愛理
KYOTOVEGAN は、
・生物多様性を大切にします
すべての生きものが互いに違いを活かしながら、つながり調和していることを意識して活動します。
・ネイチャーポジティブを目指します
Nature Positive (自然再興)自然と共生する社会の達成に向け、社会や経済の活動によって、自然生態系の損失を食い止め回復させていく行動をし、仲間を応援します。