
自然と文化を大切にする、働き方のこと
「働きがい」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか。
給与や待遇、キャリアアップ。もちろんそれも大切です。でも最近、もう少し別のことを考えるようになりました。自分の仕事が、地域の自然や文化とつながっているかどうか。そこに、新しい「働きがい」があるのではないかと。
自然資本という考え方
森や川、土壌、生き物の多様性。これらはまとめて「自然資本」と呼ばれます。経済活動の土台にあって、でも長い間、コストにも利益にも計上されてこなかったもの。
京都には、この自然資本が暮らしのすぐそばにあります。千年かけて積み上げられた文化も、食も、まちの作法も、自然との関係の中で育まれてきました。
四季の移り変わりを感じながら働く職人、地域の食材にこだわる料理人、土地の記憶を次世代に伝える人たち。そういう仕事が、京都ならではの価値として住まう人だけでなく、国内外の方の心と繋がって来ました。
それを次の世代に手渡すことを、仕事の軸に置けるかどうか。それが問われている時代だと感じています。
「どこで、何のために働くか」が変わってきた
事業のあり方を問い直す企業が増えています。使う素材、エネルギー、取引先の選び方。小さな選択の積み重ねが、地域の自然や文化を守ることにつながる。そういう感覚が、社会に広がってきています。
働く側も同じです。収入だけでなく、「この仕事は何を残すか」を考える人が増えています。地方移住、副業、地域との協働など、働き方の選択肢が広がった分、問いも深くなっています。
仕事を通じて地域とつながり、自分の暮らしと社会が重なるところに、働きがいを感じる。そんな声を、あちこちで聞くようになりました。
京都から問い直す
KYOTOVEGANは、食やライフスタイルを入り口に、自然と人のつながりを翻訳する仕事をしています。飲食店、企業、観光、地域などさまざまな現場で見えてくるのは、「何を大切にして働くか」が、人や組織を変えていくということです。
自然資本や文化を守ることを、事業の中心に置く。それは理想ではなく、京都という土地が長い時間をかけて証明してきたことでもあります。
小さな商いも、大きな企業も、根っこにあるものが問われる時代になった。何を守り、何を残し、何をつなぐのか。
「働きがい」の中に、そういう視点を大切にしていきたいと思う若者が増えてきていることを感じています。
(執筆:玉木千佐代)