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私たちは普段、何を基準に商品を選んでいるでしょうか。価格でしょうか、品質でしょうか、それともブランドでしょうか。もちろん、それらは大切な判断材料です。しかし近年、その商品が「どのように作られたのか」「誰が作ったのか」「どのような社会や環境につながっているのか」という背景まで含めて選ぼうとする人が増えています。

今回KYOTOVEGANでは、ジェイアール京都伊勢丹が取り組む「think good」について取材しました。サステナビリティをテーマにしたこの取り組みは、単なる環境配慮のキャンペーンではありませんでした。取材を通して見えてきたのは、「これからの百貨店は何を届ける場所なのか」、そして「私たちは何を基準に選び、消費していくのか」という問いです。2026年4月、“今日の選択”が未来へとつながっていくことを、身近に感じられるイベント「think good ~きょうとつながる、つづく、あすへ~」が開催された。その取り組みには、商品を販売するだけではない、新しい価値提案の可能性が込められていました。

百貨店は「モノを売る場所」から「価値を伝える場所」へ

取材の中で印象的だったのは、「作り手と消費者をつなぐことが百貨店の役割」という言葉でした。商品は店頭に並んだ瞬間に生まれるわけではありません。農家が育て、職人が技を磨き、企業が工夫を重ね、多くの人の手を経て私たちのもとへ届きます。しかし現代の消費社会では、その背景が見えにくくなっています。結果として、私たちは「何を買うか」は考えても、「なぜそれを買うのか」を考える機会を失いがちです。

think goodが目指しているのは、商品そのものだけでなく、その背景にある物語を伝えることです。黒染めによりアップサイクルされた服、使用されなくなった楽器から生まれた雑貨、伝統技術を体験するワークショップ、若手農家たちの挑戦。それらは単なる展示ではなく、「知ること」から始まる消費体験の提案でした。

近年、「モノ消費」から「コト消費」、さらに「イミ消費」「エモ消費」へと価値観が変化していると言われます。単に所有することではなく、その商品や体験が持つ意味に共感して選ぶ。think goodは、その流れを京都の玄関口であるジェイアール京都伊勢丹から発信しようとしているように見えました。

サステナビリティとは、「一緒に考える」こと

興味深かったのは、担当者の方が「私たちもサステナビリティの専門家ではない」と率直に語っていたことです。多くの企業は、サステナビリティについて完璧な答えを持っているように見せがちです。しかしthink goodは少し違います。「こうするのが正解です」と示すのではなく、「私たちも学びながら、お客様と一緒に考えていきたい」という姿勢が感じられました。

実際、取り組みの名称も「Do GOOD」ではなく「think good」です。良いことをする前に、まず考える。なぜそれが必要なのか、誰のためなのか、どんな未来につながるのか。考えることそのものに価値を置いているのです。

これはKYOTOVEGANが大切にしている考え方とも重なります。ヴィーガンという言葉を聞くと、食べる・食べないという選択だけに注目されがちです。しかし本質はそこではありません。なぜその選択をするのか、どのような価値観を大切にしているのか。動物福祉、環境、健康、宗教、文化――人によって理由は異なります。だからこそ重要なのは、「正解を押し付けること」ではなく、「背景を知ること」なのです。

京都だからこそ生まれるサステナビリティ

think goodにはもう一つ特徴があります。それは、「地域社会との共創」と「文化の継承と革新」を大きな柱に据えていることです。京都には数百年続く技術や文化が数多く存在します。しかし、伝統は守るだけでは残りません。時代に合わせて更新されなければ、やがて人々の暮らしから離れてしまいます。

今回のイベントでは、伝統と新しい感性を実際に体感していただけるワークショップも行われました。今後は、京都のものづくりや地域とのつながりをより体感できる形へと発展させながら、取り組みを深めていく構想もあるそうです。共通しているのは、「継承」と「革新」を対立させていないことです。伝統を残すために変化する。これは京都という街が長い歴史の中で繰り返してきたことでもあります。

京都らしさとは、古いものをそのまま保存することではありません。時代に応じて更新しながら、本質を受け継ぐことです。サステナビリティも同じではないでしょうか。過去に戻ることではなく、未来へつなぐために今を更新すること。その意味で、文化の継承と環境への取り組みは決して別のテーマではありません。

ヴィーガンもまた、「背景を選ぶ」行為

取材の中で、ヴィーガン対応についても話を伺いました。印象的だったのは、ヴィーガンを単なる販売施策としてではなく、多様な価値観を紹介する選択肢の一つとして捉えていることでした。

実際、世界には食と環境の関係を学びながら育った人々がいます。ヨーロッパや北米では、ミートレスマンデーをはじめとする取り組みも広がっています。そうした価値観を持つ人々が京都を訪れる時代になりました。ヴィーガン対応は、そうした多様な背景を持つ人々を受け入れるための一つの方法でもあります。

だからこそ求められるのは、「ヴィーガンメニューがあります」という表示だけではありません。なぜそのメニューを提供しているのか。どのような生産者とつながっているのか。どのような未来を目指しているのか。背景を伝えることです。

これはKYOTOVEGANが伝え続けてきたことでもあります。ヴィーガンとは単なる食事制限ではなく、その選択の背景にある価値観や物語に目を向けること。その意味で、think goodが大切にしている「背景を知る」という姿勢と深く重なっているように感じました。

「知る」から「考える」へ

サステナブルな社会は、誰か一人が作るものではありません。企業だけでも、行政だけでも、市民だけでもありません。だからこそ必要なのは、「知ること」で終わらないことです。今回の取材を通じて感じたのは、think goodが目指しているのは啓発ではなく対話なのだということでした。「これが正しい」と伝えるのではなく、「あなたはどう思いますか?」と問いを投げかける。その問いに対して、一人ひとりが考え、自分なりの選択を重ねていく。商品を選ぶこと、食事を選ぶこと、誰から買うかを選ぶこと。その一つひとつが未来を形づくっています。

京都の玄関口に立つ百貨店が今、届けようとしているのは商品だけではありません。その背景にある物語であり、未来への問いなのです。think good。それは「良いことをする」という宣言ではなく、「より良い未来について一緒に考えよう」という招待状なのかもしれません。

 

ジェイアール京都伊勢丹のthink good のページはこちら

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