株式会社美濃与の大豆出汁提案会をKYOTOVEGANオフィスで開催しました

2025年6月12日(木)、KYOTOVEGANオフィスにて、株式会社美濃与と共同で企画・開発を進める「大豆出汁」の提案会を開催しました。
美濃与は、約120年にわたり和菓子の原材料を扱ってきた、京都を代表する老舗企業の一つ。和菓子の伝統を支え続けてきた同社が、いま新たに注目するのが「大豆」です。大豆出汁や大豆コーヒーなど、時代のニーズと共に、持続可能でおいしい食のあり方に挑戦しています。
(※関連記事:美濃与「和菓子原材料の老舗・美濃与が挑む『大豆出汁』から始まる新たな未来」はこちら)
今回の提案会では、まず参加者による大豆出汁の試飲テイスティングからスタート。大豆出汁には、ふくよかで優しい自然の甘さがあり、単体でも十分魅力的ですが、昆布や椎茸などの他の出汁とブレンドすることで、味わいの奥行きがさらに広がることを実感しました。
続いて行われた試食会では、仕出し専門の精進料理店「矢尾治」の料理人・上田様、Neoベジタリアン・クッキングスタジオ京都のerico先生をお招きし、大豆出汁を使った創作料理を楽しみました。
トークセッションでは、KYOTOVEGAN 玉木がファシリテーターを勤め、美濃与・長瀬代表取締役社長、矢尾治・上田様、erico先生の三名が登壇。大豆出汁や精進料理の背景、そして出汁を活かすアイデアや可能性について語っていただきました。
中でも印象的だったのは、精進料理における「大豆出汁」の誕生背景。そもそも大豆出汁は、出汁を取るために意図的に生まれたものではありませんでした。精進料理では、大豆を柔らかく煮る工程で自然と出てくる煮汁があり、これを「栄養も旨みもあるのに捨てるのはもったいない」と、僧たちが“出汁”として活用し始めたことが始まりだといいます。
この「もったいない」の精神から生まれた知恵や大豆出汁の歴史的な背景は大変興味深いものでした。
また、出汁を取った後の大豆の“出汁殻”の活用も注目テーマの一つでした。erico先生は、「大豆の青臭さが抜けていて扱いやすく、特にスイーツに適している」と語り、ペースト状にして味を調整すれば、ガトーショコラやムースなどへの応用も可能と提案。高タンパクで栄養価も高く、新たな食材としての可能性を感じさせました。
『Neoベジタリアン』は、食の垣根を作らない料理。食の国境や制約を超えた色とりどりな料理を楽しみました。
最後の質疑応答では、大豆の生産地や植物性加工商品の開発が飛躍するなか、法整備の追い付いていないことの難しさ、これからの社会に必要な持続可能な食文化への想いなど、熱い声が飛び交いました。
今回の提案会には、料理人や出汁ソムリエ、卸売業、などなど様々な分野・業種の方にお越しいただきました。実際に試飲や試食、交流を行う中で、素材を見つめ直すこと、背景にある文化や思想に触れることの大切さを改めて感じる機会となりました。分野を超えた多様な参加者同士の交流は、新たな気づきやアイデアの種を生む貴重な場となりました。
KYOTOVEGANは今後も、多様な価値観やライフスタイルに寄り添いながら、「おいしい」と「やさしい」が共存する食のあり方を皆様と模索し、発信していきます。
KYOTOVEGAN は、
・生物多様性を大切にします
すべての生きものが互いに違いを活かしながら、つながり調和していることを意識して活動します。
・ネイチャーポジティブを目指します
Nature Positive (自然再興)自然と共生する社会の達成に向け、社会や経済の活動によって、自然生態系の損失を食い止め回復させていく行動をし、仲間を応援します。