
「この野菜が生まれるまでに、どれだけの手間と時間がかかっているのか。」 その過程に光を当て、正当に評価したい——。
そんな想いから生まれたのが、乾燥野菜ブランド「OYAOYA」。OYAOYAは京都を拠点に、全国約40軒の農家さんと信頼関係を築きながら、規格外野菜のアップサイクルに取り組んでいます。けれど、その取り組みは単なるフードロス対策ではありません。農業の現場で起きている「見えにくい問題」と、食べる人の「意識の変化」をつなぐ、まるで”まちの八百屋さん”のように、OYAOYAは食の未来を描いています。
今回は、KYOTOVEGANメンバーズでもあるOYAOYA(株式会社Agriture)代表の小島怜さんにその想いやビジョンを伺いました。

「ただでください」からの脱却:対等な関係性が生む、持続可能な仕組み
「規格外かどうかで判断するのではなく、作られた時間や労力に正当な対価を支払い、対等な立場であること。だからこそ、長いお付き合いが実現できているのだと思います。」
農家さんとの関係性で最も大切にしていることをこう語る小島さんの背景には、学生時代から抱き続けてきた強い問題意識があります。
大学で農業を学び、規格外みかんのアップサイクルを研究する中で、地元京都でも同様の「もったいない」が起きているのではないかと感じたそうです。しかし、「規格外野菜がもったいないという考えはあっても、ただでくださいではWin-Winではない」——。ここにOYAOYAの事業の原点があります。
2019年、大学3年生の頃に農家さんへの聞き取りを始めた小島さんは、規格外野菜が安く買い叩かれるという実態を目の当たりにします。SDGsやエシカルという言葉が世の中に飛び交う中でも、農業の現場との間には依然として大きなギャップがありました。「農家さんから安い価格で規格外野菜をもらう」といった構造の裏には、農家が弱い立場に置かれている状況を目の当たりにし、「自分の使命だ」と奮起したと言います。規格外野菜がそのままでは流通しづらい現実に対し、乾燥野菜や加工品にすることで適正な価格で農家さんにも利益を生み出す道を開いたのです。
日本の農業が抱える課題と、世界に広がる可能性
OYAOYAの活動は、すでに香港・ドバイ・台湾・ドイツなど海外にも広がりつつあります。その背景には、小島さん自身が旅先で感じた「日本の農業の強みと弱み」がありました。
「日本の野菜って、とにかく甘いんです。しかも、種類も豊富で、見た目も美しい。農家さんがまるで職人のように手間をかけて、作物と向き合っているのがわかります。」
一方で、深刻な課題として挙げられたのは、高齢化と人手不足です。「農業者のほとんどが75歳以上の高齢者で、このままでは数年後には地方が終わってしまうのではないか」と危機感を募らせます。
日本の野菜の品質や味の繊細さは、海外でも高く評価されている一方で、生産体制や継続性には課題が残ります。そんななか、OYAOYAは日本の加工技術や衛生基準の高さを活かし、「乾燥野菜」という形で、農業の魅力を再構築しようとしています。

「干し野菜」という文化を、世界の食卓へ
「乾燥野菜は、保存が効いて軽く、物流コストも抑えられます。パウダーやチップにすれば、加工食品やペットフード向けにも展開でき、活用の幅が大きく広がります。」
OYAOYAが描く未来の一つに、「日本の干し野菜文化の世界展開」があります。特に香港やシンガポールなど、日本の農産品が高く評価される地域では、日本の“おいしい技術”がしっかりと受け入れられつつあるそうです。
「日本の出汁文化って、実はヴィーガンやベジタリアンとも相性がいいんです。昆布や椎茸に加えて、乾燥野菜からとれる出汁は、動物性を避けたい人にも安心して使っていただける。」
実際、京都では外国人観光客が増え、ヴィーガン・ベジタリアン・ハラール対応が求められる中で、「どう対応したら良いか分からない」という声も聞かれます。乾燥野菜からとれる出汁は、ヴィーガンの方々にも安心して使っていただけるもの。海外に合わせたヴィーガンを広めていくのではなく、日本の野菜が持つ本来の旨味が、新たな形で評価されることで、インバウンド向けの需要にも応え、日本の野菜や食文化が再評価されていけば良いなと思います。」

食を通じて、未来を動かす
それは単なるフードロス削減に留まらず、日本の野菜が持つ滋味や香りを、制限ではなく「選択肢」として未来や世界に届ける挑戦でもあります。そして、日本の農業の高齢化や人手不足という現実がある中で、OYAOYAは、農家さんと二人三脚で、日本の農業を守り、発展させていきたい。」と小島さんは語ります。
規格外という言葉の奥にある、“作られた背景”に目を向けたとき、私たちの食卓にも、新しい価値が生まれていくのかもしれません。
OYAOYAの創業のきっかけや想い、挑戦はホームページにもたくさん掲載されています。
ぜひ、乾燥野菜も手に取ってみてください!
ブランドページ:乾燥野菜OYAOYA
運営会社:株式会社Agriture
インタビュー・執筆:久田愛理