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世界で2番目に環境負荷が高い産業

みなさん、ご存知でしょうか。ファッション産業は石油産業に次いで“世界で2番目に環境負荷が高い産業”といわれています。 衣類の生産過程では大量の水やエネルギーが消費され、多くのCO2や有害化学物質が排出されるのです。

大量に生産される服の一生と環境負荷


資料:環境省「SUSTAINABLE FASHONこれからのファッションを持続可能に」より

資料によると、日本で売られている衣服の98%が海外からの輸入だそう。年間購入枚数は一人18枚。手放す服は15枚。1回も着られていない服が一人当たり35枚あるそうです。リサイクルやアップサイクルやリユースなどにより廃棄される衣服がすくなるなる循環(サーキュラー)型への取り組みが、環境配慮への行動として始まっています。

私たち消費者のできることは?

私たち消費者ができることとして、不要な服を寄付したり、買う量を減らす、リサイクル素材で作られた服を選ぶなどさまざまな行動がありますが、そのうちの一つが「服を捨てるのではなく、修理する。」ことです。服を捨てると、埋め立てや焼却による環境負荷が発生します。服が破れたり、汚れたりしても、修理することで長く着ることができます。その方法の一つである、京都の伝統的な技術”黒染”めについてご紹介します。

京都の黒染めが近年再注目!

京都は千年以上の歴史を持つ古都であり、伝統的な染色技術が受け継がれています。その中でも、深い色合いと美しい光沢が特徴の黒染めは、着物の紋付や喪服などに使われてきました。近年では、洋服の黒染めも人気が高まっています。特に京都の黒染めの「黒」は特別で、ハイブランドが注目するほど。”本当の黒い服を作りたい”ときには海外からの依頼がくるそうです。

また、SDGsの観点からも染めは注目されていて、汚れや、色落ちした服を黒く染め直すことで、再び着られるようにするだけでなく、新たなデザインとして楽しむこともできます。

画像:株式会社 京都紋付

京都の黒染めの歴史と特徴

京黒紋付染は、京都府京都市および亀岡市を中心に生産されている伝統工芸品で、婚礼衣装や喪服などに用いられる黒色の染色技術と紋描き技術の総称です。

京黒紋付染の歴史は古く、平安時代にまで遡ります。当時は墨で染める「墨染め」が主流でしたが、時代とともに技術は進歩し、戦国時代には山桃から抽出した染料を用いるようになりました。

江戸時代になると、檳榔子(びんろうし)と呼ばれる植物の実から抽出した染料を用いる「檳榔子染め」が確立されます。鉄漿(おはぐろ)五倍子汁(ふし)などを用いて何度も染め重ねることで、光沢と深みを兼ね備えた漆黒の色彩を生み出す技術は、武士の間で絶賛されました。

明治時代以降、西洋から化学染料や染色技術が伝来し、現在では黒浸染と黒引染の二種類の技法が主流となっています。黒浸染は、無地の喪服に用いられる技法です。生地を紅や藍で下染めした後、高温の合成染料に浸し、深い黒色に染め上げます。一方、黒引染は、家紋や模様が入った着物に用いられる技法です。防染処理を施した生地に、刷毛で染料を塗り込んでいく繊細な作業が求められます。

京都紋付が提案する、リウェアの未来

このように近年、大量生産・大量廃棄が問題視される中、京黒紋付染の技術は新たな可能性を秘めています。色あせや汚れで着られなくなった服を、黒く染め直すリウェアサービスです。
捨てられるはずだった服に新たな命を吹き込むことで、資源を大切に使い、環境負荷を減らすことができます。

黒染めは、単なる染色技術ではありません。そこには、大切な服への想い出や、かけがえのない時間を蘇らせる力があります。黒く生まれ変わった服は、新たな装いとなり長く楽しむことができます。

ファッションでヴィーガンを選択する場合はシルク商品を選ばない方が多いですが、自分の親や祖父母から引き継がれた正絹の着物や身の周り品は、大切に使って行けたらよいなと思います。

サステナブルな未来へ、服を大切にする選択。

「もったいない」という日本人の精神を大切に、捨てられるはずだった服を蘇らせる黒染めは、まさにサステナブルなファッションの象徴です。サステナブルな社会への貢献と、服への愛情を同時に叶える「黒染め」リウェアを、ぜひ体験してみてください。

久田

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