プラントベースで和食という新しい発想2

大阪万博でのプラントベース食の広がり
大阪万博も残すところ約1ヶ月の開催期間となりました。
7月に訪れたのですが、パビリオンには入場せずにひたすらプラントベース食のリサーチに回りました。
カレー、アイスクリーム、ハンバーガー、ソフトクリーム、チーズ、唐揚げ、うどん、、、などなど。
様々な出店企業がヴィーガンの人も選べるグルメを提供していて、街歩きのときのように店探しに困ることはありませんでした。
(こんなに沢山のメニューを選べるのは、日本では5年前では考えられなかった)
プラントベース×和食という新たな観点
改めて2年前に投稿させて頂いた記事を再掲載したいと思います。
******************************************************************************************************
月刊専門料理でも有名な出版社、柴田書店が開催した「2023年日本料理フォーラム」に初めて参加させて頂きました。
京料理の第一人者9名が料理研究をされている会「柴田日本料理研鑽会」が主催されているものです。毎回様々なテーマに取り組み、未来の和食のあり方を会員の方々で研鑽されそれをこのフォーラムで発表、試食ができるという、日本唯一の学会のような会合です。
第13回である今回のテーマは「プラントベース和食」でした。
(講師として登壇される京都の有職料理の9名の先生方が研究開発された献立を試食できると聞いて直ぐに申し込みました)
目の前でライブ調理され、またそのメニューを作るに至った考えを調理中に聞けることも、とても貴重な経験です。
詳しいお料理の内容は公開できないのですが、どの先生の料理も旨味や香りを色々な方法、例えば発酵や燻製、などでつけて、滋味深く美味しさを幾重にも感じる、素晴らしい料理でした。
先生方みなさんおっしゃっていたのが、お客様の食の多様性に対応していかなければならい、ということ。
ヴィーガン、ベジタリアン、グルテンフリー、アレルギー、ハラール、、、など、国内外のグルメの方が京都の有名和食店で予約を取るとき(もしくは当日)に、ヴィーガン(ベジタリアン)食でお願いします、という要望が顕著に増えてきているそう。
フォーラム聴講参加の方(おそらく料理人)が「外国人が入ってきはったら4人に1人はヴィーガンかベジタリアンやで」とお仲間とお話をされていました。また登壇された先生のうちのお一人はもっと多い数字でベジタリアンがいる、と言われていました。
研鑽会の方が定義された「プラントベース和食」という概念がとてもユニークでした。
食材は植物性のみ使うこと、そして昆布は使わないこと。そのルールの背景には、より良い地球環境を未来に繋いでいくためという考えがあります。世界中のグルメが無形文化遺産である和食を味わいにくる京都。一流として環境のことを考えながら献立を組み立てるのは必須になっているのだろうと思います。
昆布を使わない精進出汁ルールの理由
昆布を使わないというルールの理由のひとつに、天然昆布の収穫量が激減しているということがあります。約30年で1/8になったというデータもあります。
https://www.pyuru.co.jp/activity/konbu
環境の変化もあり、過収穫もあり、このままでは昔から日本の食卓に上がる天然昆布が、値段が高騰し食べられなくなる可能性も。
減りゆく資源を伝統のまま使い続けるのではなく、新しい発想で昆布に頼らないグルタミン酸の旨味を、持続可能な食材で代用することを、研究されています。
その様子は、柴田書店「月刊 専門料理」の5月号から連載されています。
https://onl.bz/jjZxWcS
一方、世界では海藻が新しい食材として、ヨーロッパやアメリカで大注目されています。日本でも「海の野菜」として注目された若き起業家もおられます。
その話題は、改めて。
******************************************************************************************************
と、いう記事でした。
この翌年には、京都食文化協会で「SaiーShoku fair」というイベントも開催されています。
世界に届けたい日本の菜食
万博で見かけるような「食べ歩き感覚のカジュアルなメニュー」を、企業や事業者の方が美味しく、しかも手軽に提供できる仕組みが整いつつあるのは、とても嬉しいことだなと感じています。
しかし和食料亭で、和食の専門職の料理人が、例えば4〜10名の中の1人という限られたニーズに応えて、季節ごとの献立を別途で美味しく組み立てていくのは、本当に手間のかかることだと思います。
ここ最近、旅館の女将やホテルのコンシェルジュ、旅行会社の企画の方など、さまざまな接客業の方にお会いする中で、「ヴィーガンやベジタリアン対応をお願いされることが増えている」というお話をよく耳にします。特にインバウンドのお客様からは「せっかく日本に来たのだから和食を食べたい」という声が必ず出るそうです。
日本には本当に美味しい食材がたくさんあって、海に囲まれている国だからこそ「美味しい魚を海外の人に食べてもらいたい」という料理人の気持ちもよく分かります。けれど、肉や魚を食べないというライフスタイルを選ぶ方には、「生き物や自然へのリスペクト」や「食を通じて地球環境を未来につなぎたい」という想いが込められているのです。
そんなお客様の想いに寄り添って、旅先でも自分らしい食を楽しめるように――京料理人の方が心を込めて和食を届けてくださることは、京都の誇りになるのではないでしょうか。
その積み重ねが「日本ならではの誇り」として世界に広がっていくことを願っています。
そして私自身も、その橋渡し役となれるよう、このテーマに関わり続けていきたいと思います。
(玉木千佐代)

